一般社団法人日本造血細胞移植学会 The Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation

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第41回日本造血細胞移植学会
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日本造血細胞移植学会倫理指針

最終更新日:2018年6月18日

序文

日本造血細胞移植学会(以下「学会」という。)は、造血細胞移植法の普及および患者・ドナーの保護と治療成績の向上をもって、広く患者および社会に貢献する学術団体である。学会はその活動の中でも特に、患者およびドナーの安全性やプライバシーに配慮しつつ、造血細胞移植に関する研究と診療を推進することで、その治療成績および安全性の向上を図り、もって患者およびドナーに資することを目的としている。造血細胞移植に関わる医療従事者は、患者に対して、各疾患のいかなる時期にいかなる造血幹細胞移植を行うことが安全かつ有効にその治療成績の向上につながるのか、またドナーに対して、その安全性の面から造血幹細胞採取の選択をどうすべきかを考慮しつつ、これまでの医学的・科学的評価を基盤に造血細胞移植法の適切な判断をすることになる。しかし、患者側にとってもドナー側にとってもその時々に遭遇する未解決の問題は多々あり、医療従事者はそれらの課題に明確な答えを出し、造血細胞移植医療の発展に貢献すべく、臨床試験を実施することが必要となる。これらのことから、患者およびドナーに有益な造血細胞移植法の確立が可能となる。この際、患者およびドナーの生命や健康への十分な配慮の下、人権を保護した上で、練り上げられた臨床試験を遂行することは医療従事者にとって必須の大前提であり、特にドナーは健常人であるために、配慮すべき点が多いといわざるを得ない。さらに、とりわけ臨床試験遂行者は被験者に臨床研究の目的と内容をよく説明し、被験者自身の自由意志による同意(インフォームドコンセント)を得て、当該研究を遂行することが要求される。このような背景から、臨床試験の遂行等に当たっては、医療従事者および非医療従事者からなる日本造血細胞移植学会倫理委員会(以下「委員会」という。)において、当該試験の倫理性、科学性および妥当性についての審査を経て、委員会の承認を受けてから実施すべきものと考えられる。古くはニュールンベルグ綱領で臨床試験における倫理性がまとめられ、その後世界医師会によるヘルシンキ宣言で倫理規範と個人情報の保護が示され、度重なる改定と改良を経て、臨床試験に携わるすべての研究者が遵守すべき倫理指針が決められているので、これを踏まえて当該研究を遂行することが必要とされている。さらに、わが国においては、平成15年7月に厚生労働省より「臨床研究に関する倫理指針」、平成13年3月に文部科学省、厚生労働省、経済産業省による「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」、平成14年6月に文部科学省、厚生労働省より「疫学研究に関する倫理指針」が制定されているので、これらを遵守して臨床試験のプロトコールを作製・遂行することが重要である。
また、学会は毎年造血細胞移植に関する患者の全国調査を実施しており、その成果は報告書およびホームページにまとめて公表されている。この登録事業は造血細胞移植を受ける患者は勿論、医療従事者にとっても重要な情報を提供していることに疑問の予知はない。しかし、結果の公表等に際しては、患者個人情報の保護とその医療情報の開示が適切なされることが要求される。この点に関しては、医師に求められる倫理規定(日本医師会「医師の職業倫理指針」)に則った造血細胞移植医療の情報公開の姿勢が求められている。
上記の点を勘案して以下の事項をまとめ、学会としての行動の指針とするものである。

本文

倫理委員会は、下記の2つの部会を設け、患者およびドナーの人権保護に配慮しつつ、造血細胞移植の研究および治療成績向上につながるよう努める。さらに造血細胞移植の現状に関して、公正かつ速やかな公表に努めるものとする。

I. 倫理審査部会

1.臨床試験倫理審査部会

1)臨床試験倫理審査部会の構成と役割

倫理委員会委員長は、倫理審査に必要な書類(審査依頼書:様式1、臨床試験プロトコール一式、臨床試験の概要)が提出されてから1ヶ月以内に、試験ごとに複数の医療従事者からなる臨床試験倫理審査部会を組織し、当該試験の倫理審査を委嘱する。臨床試験倫理審査部会は原則として1ヶ月以内に、提出書類に基づく協議の結果について倫理委員会に報告するものとする。報告内容は、①協議の結果、②当該試験の科学的妥当性、③当該試験の倫理的配慮の項目について倫理委員会委員長あて、文書(様式2)にて報告するものとする。

倫理審査に必要な書類

  1. 審査依頼書(理事長から倫理委員会委員長あての倫理審査依頼書:様式1-1)
  2. 臨床試験プロトコール一式(試験計画書、同意説明文、同意書を含むもの)
  3. 臨床試験の概要(目的、方法、期間、実施期間・施設、目標症例数を明記したもの)

2)倫理委員会の役割

倫理委員会は、委員長の召集により開催される。委員会は主に当該試験等の倫理的側面について協議し、その結果と臨床試験実施の妥当性についての審査結果を理事長に文書(様式2)にて報告する。また、生命倫理にかかわる臨床試験については、その旨を明記して理事長に報告する。

3)審査結果の通知

理事長は、倫理委員会の審査結果に基づき、試験申請者に当該試験の審査結果を文書(様式3)にて通知するとともに、理事会、評議員会、総会で承認を得ることとする。

2.臨床試験以外の倫理審査部会

毎年実施される全国調査に基づいて、移植の種類別、疾患別、年齢別などの移植成績、合併症の頻度や重篤度などがまとめられ、年度ごとの報告書および学会ホームページに掲載されている。ここでは、個人情報が特定されないよう配慮されているかどうかが吟味される必要がある。さらに、各施設別移植成績の掲載に関しては、当該施設の了解を得た上でその取り扱いに留意することが望ましく、また医療関係者はもとより患者およびその家族による成績の把握のされ方についても誤解のないよう万全を期した説明と情報提供が必要とされる。また、造血細胞移植の現状に関しての公表を求められる場合などに対応して、倫理委員会による公表の妥当性の検討と、その結果の答申に基づいた公開が望まれる。さらに、提供された医療記録や個人情報などの厳重な管理を行うことに関しても、倫理審査の下での実施が望まれる所であり、上記の事項を審査対象にした倫理審査を行うこととする。

1)臨床試験以外の倫理審査部会の構成と役割

倫理委員会委員長は、倫理審査に必要な書類(審査依頼書:様式4および審査のために必要な資料)が提出されてから1ヶ月以内に、非医療従事者および医療従事者からなる臨床試験以外の倫理審査部会を組織し、当該試験の倫理審査を委嘱する。本倫理審査部会は原則として3ヶ月以内に、提出書類に基づく協議の結果について倫理委員会に報告するものとする。報告内容は、①協議の結果、②当該申請事項の実施妥当性、③当該申請事項の公開など倫理的配慮の項目について倫理委員会委員長あて、文書(様式5)にて報告するものとする。

倫理審査に必要な書類

  1. 審査依頼書(理事長から倫理委員会委員長あての倫理審査依頼書:様式4)
  2. 申請事項に関する提出資料(実施計画事項の概要、目的、方法、期間、実施施設などを明記したもの)

2)倫理委員会の役割

倫理委員会は、臨床試験以外の審査部会からの報告を受けて、委員長の召集により開催される。委員会は主に当該事案の倫理的側面について協議し、その結果と実施もしくは公表の妥当性についての審査結果を理事長に文書(様式5)にて報告する。また、生命倫理にかかわる事項については、その旨を明記して理事長に報告する。

3)審査結果の通知

理事長は、倫理委員会の審査結果に基づき、試験申請者に申請事項の審査結果を文書(様式6)にて通知するとともに、理事会、評議員会、総会で承認を得る。

II. 医療情報の登録と患者個人情報の保護

造血細胞移植医療においては、患者およびドナーの個人情報や医療情報を適切に扱うことが要求され、遂行すべき研究の内容により、該当する倫理指針に従って臨床試験を行う。

1.臨床研究、疫学研究

造血細胞移植に関わる治療成績や移植法は日々進歩を遂げ変貌する。したがって、最新の造血細胞移植の施行には患者およびドナーの医療情報を登録して解析する必要が生じてくる。学会を通して行われる疫学調査においては、厚生労働省・文部科学省合同の「疫学研究に関する倫理指針」(平成14年6月)、および臨床研究においては厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」{平成15年7月}を遵守して行う。その際、事前に患者およびドナーに説明を行い、移植前に書面にて同意を得ておくことが必要である。

2.ヒトゲノム・遺伝子解析研究

造血細胞移植に関する医療や研究のために患者およびドナーの検体を用いて遺伝子解析を行う場合には、厚生労働省、文部科学省、経済産業省3省合同の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年4月)を遵守して行う。その際、事前に患者およびドナーに説明を行い、移植前に書面にて同意を得るとともに、理事長宛てにヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理審査事項についてあらかじめ報告(様式7-1)することが必要である。

III. その他

1.造血細胞の売買の禁止

治療を目的とした造血細胞は商取引の対象とはなり得ない。したがって、対価の授受は禁止されるべきである。

2.本倫理指針に定める禁止条項に違反した場合は、倫理委員会の議を経て、理事会にて対応し、総会にて決定する。

本指針は平成16年12月18日付にて公開され、実施される

参考

  1. ニュールンベルグ綱領(1949年)
  2. 世界医師会、ヘルシンキ宣言(1964年、1975年、1983年、2000年改定)
  3. 文部科学省、厚生労働省、経済産業省「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成13年3月)
  4. 厚生労働省・文部科学省「疫学研究に関する倫理指針」(平成14年6月)
  5. 厚生労働省「臨床研究に関する倫理指針」(平成15年7月)
  6. 日本医師会「医師の職業倫理指針」(平成16年2月)

倫理審査申請様式

倫理審査依頼書(様式1)

 

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