一般社団法人日本造血細胞移植学会 The Japan Society for Hematopoietic Cell Transplantation

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6. 末梢血幹細胞採取の実際

最終更新日:2018年5月17日

末梢血幹細胞採取の方法

採取は一般的に、採取前健康診断後の連続4~6日間の日程を必要とします。施設によって入院が必要な場合と通院で可能な場合がありますが、日本骨髄バンクで採取をされる非血縁ドナーの方は1泊2日以上の入院が必要となります。

1)G-CSF製剤の投与

G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)は、白血球を増加させるとともに、体を流れる血液の中に含まれる造血幹細胞を増やす効果のある薬剤です。元々末梢血には造血幹細胞があまり含まれていませんが、この注射をドナーに連日投与することにより、移植に必要な程度量の造血幹細胞を末梢血から採取することが可能となります。採取の際には、通院あるいは入院で、G-CSF製剤が1日1回または2回、毎日(3~6日間)皮下注射されます。その間ドナーは毎日採血され、白血球数が増えすぎるようであれば薬の量を減らすなどの調整が行われます。

2)末梢血幹細胞の採取(アフェレーシス)

G-CSF製剤の皮下注射開始から4~6日目が、末梢血中の造血幹細胞が最も増える時期ですので、それに合わせて「成分分離装置」という器械を用いて、造血幹細胞を採取します。

アフェレーシスとは、片方の腕の血管から血液を採取し、器械を用いて必要な成分だけを集め、赤血球・血小板などの残りの血液をもう一方の腕の血管から戻す処置のことを言い、献血ルームの成分献血などで広く使用されています。

末梢血幹細胞採取の場合、全身麻酔は必要ありませんが、採取のために太めの針を両腕にさします。十分な太さの血管がない場合は、足の付け根(そけい部)などの太い血管にカテーテルと呼ばれるものを入れて採取が行わることもあります。所要時間は3~4時間前後ですが採取速度や処理する血液量によってはさらに時間を要する場合もあります。

安全のため心電図モニターや血圧計などを装着し常に医療スタッフが待機し体調管理を行い安心して採取が受けられるように配慮します。通常1~2日間で採取が行われます。このとき、血漿や血小板も造血幹細胞と一緒に採取されてしまうことから、採取後に血小板数が著明に低下した場合には造血幹細胞から分離し血小板を返血する場合があります。

3)末梢血幹細胞採取後

外来で行う場合には、採取後の全身状態に問題なければ、そのまま帰宅できます。入院の場合、一般的には採取が終了した翌日に退院となります。その後も、G-CSF製剤投与後1週間ぐらいは白血球数が多く、血栓症を起こしやすい(いわゆるエコノミクラス症候群のような)状態にあります。過労、無理な旅行、過度の安静は禁物です。たっぷり水分をとり、適度に体を動かしましょう。飛行機や電車で長時間同じ姿勢でいるのも良くありません。

4)採取後検診

採取数週間後に検診が行われ、採取に関連する合併症や副作用がなければ終診となります。

末梢血幹細胞採取の合併症

末梢血幹細胞採取では、細胞採取の前にG-CSF製剤が投与されます。その時に骨の痛み
(腰痛、背部痛、四肢の痛みなど)、発熱、頭痛、倦怠感、不眠、食欲不振、吐き気とい
った副作用が認められます。痛みについては、通常、消炎鎮痛剤などで軽減できます。それら
の症状はG-CSF投与終了後2~3日以内でなくなります。検査値の異常として、白血球の
増加や血小板数の減少が起こりますが、これに関しては通常無症状です。

採取は太めの針を刺しますので、その際に痛みや不快感で(痛み刺激が原因で)血圧が低下したりすることがあります。また、血液を取り出し器械を通して身体に戻す体外循環が行われますので、その際使用する血を固まりにくくする薬剤(クエン酸)により、唇や指先などにしびれを感じる(低カルシウム血症、テタニー症状)ことがあるます。これらの症状には、医療スタッフが的確に対処しますので、出現したらすぐ知らせましょう。また、吐き気やめまい、針を刺した血管からの出血、血腫ができるなどの問題が生じることもあります。

過去に海外で採取後に脾臓が大きく晴れて破裂し、手術を要したという報告がありますが、破裂に至ることは非常にまれですが、脾臓が一過性に腫れることはG-CSF製剤投与では比較的よくみられます。

日本造血細胞移植データーセンターが骨髄および末梢血幹細胞ドナーに発生した短期的、長期的な健康上の問題点を継続的に調査しており、間質性肺炎、肝障害などの発生が報告されていますが、ほとんどのドナーが回復しています。また、末梢血幹細胞採取の数か月~数年後に乳がん、白血病などのがんや脳梗塞を発生したドナーの報告もありますが、末梢血幹細胞採取が原因である可能性は極めて小さいものです。G-CSFに対するアレルギーによるショック、間質性肺炎、狭心症様発作、脳血管障害、急性虹彩炎、痛風の悪化なども報告されています。
(詳細は「ドナー有害事象報告ページ」へ)

◆G-CSFの長期的な安全性について

G-CSFは1991年に承認され、がん患者の抗がん剤治療後の白血球減少に有効な製剤として
多く使用されている安全性の高い製剤です。健康な方に使用された場合の長期(数十年以上)
の安全性にては科学的データーを収集中です。日本造血細胞移植学会の調査では、採取の数か月~数年後に健康上の問題が発症したドナーの報告もありましたが、末梢血幹細胞採取が直接の原因であると明らかにされたものではありません。
(詳細は同種末梢血幹細胞移植のための健常人ドナーからの末梢血幹細胞動員・採取 第5版(2014年5月改訂)へ)

◆末梢血幹細胞採取に伴う重大な事故

世界で12例の末梢血幹細胞ドナーの死亡事故が報告されています。これらのドナーの多くは高齢だったことや、もともと病気を有していたことから、これらの危険因子を有していたことが原因であると考えられています。

<参考資料>
骨髄バンク ドナーのためのハンドブック

 

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